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最終更新日: 2012年06月05日 

6RA8真空管アンプのオーバーホール

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オーバーホール
6RA8_Amp 外観
34年前の1976年に自作した、6RA8 P.P.真空管パワーアンプのオーバーホール(Overhaul)をしています。(2010年2月)

このアンプを自作した頃は、他に6CA7 P.P.アンプを製作。その後、トランジスターアンプの自作をしました。その後は、時間もなくなり、市販アンプを使うようになりました。今は、Accuphaseのアンプを使っています。
ここ数年、真空管アンプの人気が再燃してきたこともあり、真空管の音を聞きたくなりました。
当時の安サラリーでは買えなかった高級・高額な部品を、いまは買うことも出来るので、オーバーホールし最高音質のアンプにすることにしました。
そうは言っても、半導体の低電圧・大電流回路と、真空管の高電圧・小電流回路とでは使う部品・配線材が違うので、ストック部品が使えず、かなりの出費になりそうです。

 

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現在の問題点と改善案LUX_OY15 出力トランス

1.右チャンネルの出力トランスCQ6B5の1次側巻線(B1-P1間)の断線
2.段間結合用のMPコンデンサーのリーク大
3.抵抗、コンデンサーに、音質に配慮された部品を使っていない
4.半田、配線材に、音質に配慮された部品を使っていない

改善案と理由は:
1.出力トランスは製造中止のため、中古のLUX OY15-5トランスに交換
 ・不良になったCQ6B5は入手困難。定評のあった、往年の名器OY15-5トランス(写真)ならAuctionで入手可能。6RA8には勿体ないですが、入手しやすさから選びました。

2.MPコンデンサー4個は、リークが少なく音が良いとの定評のSPRAGUE Orange Dropコンデンサーに交換
 Orange Drop(写真)は、重量もサイズも大きく(0.1uF 600Vが、その10倍の容量のシズキのオーディオ用コンデンサー1uF 630Vとほぼ同サイズ)、良い音がする予感が大。オーディオの場合、良い音と軽薄短小は両立できません。

3.抵抗を音質では定評のある理研電具製造のリケノームRM抵抗にする。コンデンサーを音質では定評のあるOrange Dropコンデンサーにする。
Orange_Drop コンデンサー
ちなみに、普及型のカーボン抵抗は1本1円、普及型の金属皮膜抵抗は1本7円、愛用のDale製のRN60抵抗だと1本50円、リケノームRMG抵抗だと1本210円、AMRG抵抗(非磁性体・無酸素銅金メッキリード)だと1本240円と、地獄の沙汰も金次第です(いずれも、1/2W型、小口購入の場合)。
今回は、大奮発してRMG抵抗を使いました。ブルーのボディにカラーコードが塗られていて、非常に高級感があります。しかし、RMG抵抗も、RN60抵抗も、残念ながら製造中止になっているので販売店のストックだけで終わりです。表面実装が当たり前になった現在、リード線付きの部品の製造中止はやむを得ないですね。

4.半田は、これまたお気に入りのKESTER 44(Sn62,Pb36,Ag02)を使用。古い半田は、出来るだけ吸取ることで、妥協します。同様に、配線材も交換せずに、一部を除き、現状のままにします。
シールド線は、お決まりの、テフロン絶縁・銀メッキ線のBELDEN 81553 ツインナックス・ケーブル使用。

さて、34年も前の製作なので、回路図が見つかりません。そこで、現品から回路図を作成しました(上図−左)。
回路図pdfはここをクリック
オーバーホール前の回路図 オーバーホール後の回路図

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オーバーホール作業

次に、不良の部品を交換します。
取り外したMPコンデンサーや電源デカップリング用のコンデンサー(日本ケミコン製)は、リークを起こしていました。古い真空管アンプに使われているMPコンデンサーやオイルコンデンサーは、無条件に交換したほうが良いです。
心配していた電解コンデンサーは、思ったより元気で、不具合はありませんでした。

オーバーホール前に音を聞いてみたかったのですが、トランスやコンデンサーの不良のため聞けなくなりました。結局、トランスやコンデンサーを交換し、半分オーバーホールを行ったことになりました。ハムも検知限界以下で、方形波の応答特性も満足でき、アンプとしての基本性能は満足しています。 なお、メーターは各真空管のカソード電流を表示しますが、ほとんど飾り程度です。

 

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試聴

肝心な音質は、Accuphase M-100という1台¥50万もするアンプとの比較になってしまい、とても可愛そうですが、いま一つ中低域のふくよかさが足りない(軽い)のと、高域のきらめきも不足しています。分解能も足りないかな!ニュアンスの再現力や、空気感の再現までは行きません。
パワーは、せいぜい0.1W(M-100のピークメーター表示)なので不足はありません。重低音もしっかりと出ていて、JBL OLYMPUSをコントロールしています。と言うか、OLYMPUSが勝手になっていると言う感じ!。でも、アンプの価格を考えると、良く頑張っているように感じます。

視聴システムは、このサイトの”音質レポート”に記載されています。
抵抗をRM抵抗に替えるとどのように変化するか、分解能があがるか、楽しみです。

まず、フィードバック抵抗をDale RN60抵抗に交換しました。すると、高域のきらめきが出てきました。やはり、フィードバック抵抗は音質を左右します。Daleは銀メッキ線と金属皮膜抵抗の音が好きな私には好みの音です。この抵抗は、自作オーディオファンの間ではかなり有名なDALEの軍用抵抗です。これほどまでに音の解像度が高い抵抗は無いと言えるのではないでしょうか。音の冷たさも無いので生の音を追求するには最適かと思います。

次のステップで、フィードバック抵抗以外の抵抗をRMG抵抗に交換しました。
多少ですが、S/N比が良くなり分解能があがったように感じられますが、ほんのわずかでした。

最後に、フィードバック抵抗をRMG抵抗に交換しました。音質が変わり、高域のきらめきが減り、かつ、中高域にシフトしました。好みは別として、この音が一番オーソドックスに感じられます。

リファレンスのアキュフェーズ(Accuphase) M-100の音は、まず、楽器などの音が出る前の静粛な時に、その空気感を見事に再現します。余分な付帯音も無く、でも、余韻は綺麗に再生します。SNが良く、また、スピーカーをしっかり押さえ込んでると言う感じです。価格差ですね!!
 

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塗装

ボンネット<Dynasonic Chassis>に錆が出ていたので、サンドペーパー#1000で錆取をし、「ブルーグレーM T-39(トヨタ179)」で塗装をしました。色が黒すぎたので底板だけにし、ボンネットは「アサヒペン クリエイティブカラースプレー」の「88 チャコールグレー」で再度塗装をしました。オリジナルよりわずかに明るいですが、シックに仕上がりました。

 

<<番外>>

中古のLUX OY15-5トランスをAuctionで購入したのですが、危うく詐欺まがいに引っ掛かるところでした。入手直後にチェックのため、DVMで直流抵抗を測定したところ、2台ペアーのうち、1台に不良(断線)が発見されました。トランスで断線ということは、鉄と銅の塊と言う事で、捨てるしかありません。ところが、「商品説明にNC,NR(ノークレーム、ノーリターン)と記載している」の一点張りで、返品を拒否されました。
Yahoo!オークション法律相談室に記載のNC,NRが無効になる例を参照して、「商品の問題点について、売り手は一切責任を負わない」という約束をしたとしても、それらの問題点を買い手に伝えないまま売ってしまった場合は、商品に対して責任を持たないといけない。(民法572条「担保責任免除の特約」)。…ことを説明し、何とか、不良1台分の落札価格分(¥12,000)を返してもらいました。
泣き寝入りすることは無いですよね。
 

 

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