wb01427_.gif (1595 バイト)
bar3.jpg (1851 バイト)

最終更新日: 2011年05月30日 

修理技術・ポリシー

horizontal rule

このページの、イチオシ記事−−−−Accuphase M-100用 トランジスタ

bullet

修理技術・ポリシーについて(アンプ編)

このところ、安いこともあり、Auctionで故障したオーディオ機器を買い込んでいます。発売当時は高価な為、購入できなかった機器が、中古の為、安く売られています。特に、1980年代のオーディオ黄金期に製造された機器には、のどから手が出るほどの銘 器があります。当然、故障したからと言って、捨てるには忍びないですね。そこで、手間と金をかけて修理することになります。 ビンテージ・カーや古美術品の”修復”や”レストアー”に似たものがあります。ここで、仕事の関係で、輸入測定器の修理やシステム設計・製作を35年間行ってきた、 プロの知識・経験が役立ちます。

そこで、私の修理方法と修理のポリシーを、まとめて見ました。(2002年12月〜)
ここでは、原則、銘器オーディオ・トランジスターアンプに限定して、説明します。

修理には、意外と費用がかかります。新品を購入すれば、1年間の保証がつきますし、寿命も10年はあります。愛情を感じないものはきっぱりと捨てましょう。
さらに、技術が進歩途上にあるもの(DVDプレーヤ、パソコンなどのデジタル機器)は最新機種を購入するほうをお奨めします。
愛読書の一つである「無線と実験」誌のAccuphase P-266/C-222紹介記事はここ、P1P2P3
さらにAccuphase P-600の紹介記事はここ、P1P2。 M-100測定・ヒヤリング記事はここ、P1P2
なお、Accuphase旧製品の販売年月と価格表はここ

(写真は、愛情を感じるAccuphase P-266

修理とは、”元の状態に戻す”ことです。改善でも、ましてや改悪でもありません。(勿論、ついでに改善をしたり、部品を他のものに変えて音色の変化を楽しむこともありますが、それは好みです。ここでは、”修理”ということを前提に話を進めます。)
”元の状態に戻す”とは、設計者の製品に対する思想を改変しないことです。その為には、使用されている部品は勿論のこと、回路定数も元のままで修復します。 オーディオ機器ではケーブル1本、コネクタ1個で音が変わります。無線機器やデジタル機器の修理に比べると、総合力や経験が要求されます。
"JBLの音"や"Marantzの音"が、突然、なんの前ぶれもなく、わけのわからない"○○サービスの音"や"××修理センターの音"になったのでは、かなわないですね。

オーディオ機器の修理後のチェックは、測定器を過信せず、試聴を十分に行います。測定器では測定できないポイントをチェックします。 測定器で測定できるのは物理特性だけであり、必要条件だけが満たされます。充分条件は試聴です。修理も必要充分条件が満たされて、完了になります。
残念ながら世の中には、測定器で測定できないことがたくさんあります。
たぶん、測定器だけでは、1万円のアンプと100万円のアンプの区別がつけられません。それは、双方のスペックには大差が無いからです。でも、音質は同じではありません。このことは、ちょっとマニアなオーディオファンなら誰でも知っていることですネ。

また、プロ用・業務用は機能性より耐久性や操作性を重視して作られています。機能・性能だけであれば家庭用の方が優れています。アンプであれば、24時間フルパワーで使用しても壊れないのが業務用です。その為に、機能・性能を犠牲にすることが あります。 さらに、プロ用の中古の場合、P.A.等で酷使されていることが多いです。車で例えれば、タクシーや運送トラックで走行距離10万Kmオーバーのようなものでしょうか。

同じポリシーで、オーディオアンプの修理を行うサイトを見つけました→ここをクリック

手順は次のようになります:

一口メモ @ … タッピング・ネジの取付け

タッピング・ネジは、鉄板などの雌ネジを切っていない所に、タップを作ると同時に、ネジを固定できます。しかし、修理の際に、ネジの取り外し、取り付けを繰り返すと、その都度雌ネジを作るために、穴が広がってしまい、最後にはネジが締まらなくなります。
これを避けるためには、再度取り付けるときに、ネジを左回しに回します。そこで、コトンと音がして、ネジが穴に落ちます。次に、通常に右回しで締めていきます。
左に回すことで、すでに出来てるネジタップと、ねじ山を合わせるのです。こうすれば、ネジ穴が馬鹿穴になることはありません。
アルミケースの場合で、代替でステンレスねじを使うと、アルミと電蝕を起こし 二度と取れなくなります。注意してください。

@回路図の入手(作成)
A掃除、清掃
B不良部品の特定
C部品の入手・交換
D部品のオーバーホール
E検査・調整(試聴)

古い機器になると修理部品の入手が一番困難な仕事になります。製造年度を推定するには、電源ケーブルの製造年度を確認します(日本製には必ず明示されています)。同年あるいは翌年が、本体の製造年度です。
オーディオ機器の検査・調整は、測定器だけに頼らず、徹底的に試聴を行います。測定器は道具として使うだけで、最終判断は自分の耳です。

bullet

@ 回路図の作成/入手
 全体を見渡して、頭の中にブロック図をイメージし、不良ブロックを推測します。この為には、回路図が絶対必要です。もし入手できなければ、現品から図面を作成します。
図面を作成する場合、現品(部品)を見ても型番がわからない場合があります。例えば、ダイオードなどは部品名の表示がありません。その場合、設計者の性格を掴んでおきます。例えば、アキュフェーズは日立の半導体を好んで使います。そこから部品名を推測し、最後は部品カタログで確認します。例えば、薄緑のベルトの入ったダイオードは、日立1SS81と推測できます。 さらに、表面実装部品には、表面にSMD marking codesが書かれているので、ネットで検索をします(検索語:SMD marking codes)。

ここをクリックすると、Accuphase P-266の回路図を表示します(作成例)。
ここをクリックすると、Accuphase M-100の回路図P−1P−2P−3P−4を表示します(作成例)。
  なお、これらの回路図は修理に際し、必要な部分のみを作成したものです。間違いなどの可能性もあります。使用に際しては充分注意願います。All data is provided "as is". Not responsible for errors or omissions.

必要な図面はW7FG Vintage Manuals 他から購入しています。
また、民生機器の図面はElectronicsrepair.net の方が揃っているようです。さらに、インターネットからpdfファイルを、ダウンロードにより購入する方法なので、安く($10)、早いのもメリットです。
お勧めは、AA4DF's Radio/Electronics、そしてQserviceです。
Qserviceがギリシャから送ってくる、CDの封筒に貼られた切手がとても綺麗です。
支払いは、PayPalを利用しています。クレジットカードの番号が、相手に知られないので安心です。

複雑な機器(マルチレイヤー基板など)の場合は購入するべし。

下表は購入実績です。価格は購入当時のものです。マニュアル名に特記してないものは、Service Manual(回路図付)です。
この購入形態には、個人使用が前提であり、再販や再配布の権利は含まれていません。
マニュアル名 購入先 価格 特徴 (メディア)
Tektronix 2430
 デジタル・オシロ Service
AA4DF's Radio/Electronics $15.80(FTP+CD) 検索付通常分解能pdfと印刷用高分解能pdfの2種類
(FTP,FTP+CD) ★お勧め★
Tektronix 2430
 デジタル・オシロ OP
$8.00(FTP)
Tektronix 1240
 Logic Analyzer  Service
$9.00(FTP)
Tektronix 2430
 デジタル・オシロ Program
Qservice $16.00(CD/Mail) 検索付pdfもあり丁寧な作り
 ★お勧め★
Tektronix 314
 ストレージ・オシロ Service
$17.78(CD/Mail)
Tektronix 2225
 オシロスコープ  Service
$11.49
(FTP)
アジレント 4275A
 マルチ周波数LCRメーター
W7FG Vintage Manuals $63.00+
$9.00
紙ベースの為、見やすいが高価格。(製本・紙)
AKAI GX-635D
 テープ・デッキ
$21.00
Tektronix 2465
 オシロスコープ
Yahoo!オークション \3,600 日本製。pdfにしては高価格。(CD)
SONY GV-SX50
 ビデオ・ウオークマン
Electronics Repair $10.00 ややスキャンが雑で、ページが傾いています。(FTP)
Pioneer DVL-9 LDプレーヤ $10.00
Tektronix 2225 オシロスコープ OP manual 他 BAMA_manual
or BAMA-Mirror
無料 FTPのみ。混んでいる為アクセスできないときが多い。
Mirrorサイトが良いかも。
Marantz製品 全般 Marantz schematics 寄付制 分解能が悪いけど、無料なので我慢。→寄付が必要。

 

bullet

A 掃除、清掃
汚いままの機器をいじくるのは嫌なことですから、ここで清掃をします。フロント・パネルはアルコールをしみ込ませた、キッチンペーパーで軽くこすります。
くれぐれも、強力洗剤の原液などは使ってはいけません。シルク印刷の文字が、綺麗に消えてしまいます!!

bullet

B 不良部品の特定
 DMM(Digital Multi-Meter)、アナログ・テスター、オシロスコープ等の測定器を駆使して、不良部品を特定します。
真空管時代は、抵抗やコンデンサの部品不良が多かったのですが、トランジスタ時代になってからは、半導体の部品不良がほとんどです。でも、思い込みがあると、不良部品を見逃すことがあります。例えば、Panasonic製の金属皮膜抵抗は非常に故障率が高いです。また、最近では台湾製の電解コンデンサが、電解液の問題で、リコール騒ぎを起こしています。

一口メモ A … パネル文字の修復

フロント・パネルの文字が古くなってくると、部分的に文字が消えて見苦しくなってきます。こんな場合は、シンナー等では消えませんが、家庭用強力洗剤(スーパーオレンジ等)の原液を綿棒につけてこすると文字が綺麗に消えます。パネルも傷つきません。その後、水洗いをします。
次に、パソコンで原稿を作り、プリントゴッコで印刷します。印刷インクは、普通の紙用インクでOK!。
すべて、手軽に入手できる材料です。

自作用の市販ケースはデザインも悪く、非常に高価です。それなら、中古の機器を購入し、上記のテクニックでパネルを一新します。これで、デザインも優れた、自作品が出来ます。ついでに、ケースはクリヤースプレーで再塗装。

アナログ・テスターは、トランジスタ、ダイオードのLV(Load Voltage)測定・チェックに欠かせません。抵抗レンジを変えることで、被測定部品に流れる電流(LI)を変えることが出来ます。

トランジスタ・パワー・アンプの修理の場合、終段のパワートランジスタをはずしてから修理を始めます。この場合、負荷ははずします。発振防止のCR回路も負荷になる為、はずしておきます。これで、正常なら入力した波形が出力に出るはずです。
パワートランジスタは、テスターで正常か不良かを確認します。B-E間、B-C間のLV(ダイオードチェックモード)値が0.6Vで、C-E間が無限大ならOKでしょう。 ただし、DarlingtonトランジスタはB-E間1V程度。すべて、異常が無くなってから(と、思ったら)、1組だけパワートランジスタを取り付けます。パワートランジスタには、ヒューズあるいは、非常に細いリード線をつけておくと良いでしょう。

やみくもに部品を交換する修理を、ショットガン方式と言います。下手な鉄砲、数打ちゃ当たるの類です。交換した不良部品は、不良モード(オープン、ショート、容量抜け、…)を確認しておくと、間違えて良品部品を交換してしまうこともありません。
マランツ7T プリアンプで、20数個のトランジスタを交換した話を聞いたことがありますが、こんなに多数のトランジスタが不良になるのでしょうか?さらに、同型番の部品入手が出来たのでしょうか?疑わしいです。きっと、7Tの音では無くなってしまったでしょうね。銘器が一台抹殺されたような……寂しいことです。

 

bullet

C 部品の入手・交換
さて、これが一番厄介な作業です。実力だけでなく、運にも左右されます。

一口メモ B … パワーメーター照明用ヒューズ型電球の代替

アキュフェーズ(Accuphase) P-266 などで使われている、パワーメーター照明用ランプの代替品の製作は、blog http://susumu-oiso.blog.so-net.ne.jp/2009-11-11 を参照!。


古い部品については、製造中止のため、入手困難。新しい部品は、少量販売をしていない場合や、受注生産になります。
古い国産トランジスタ等は、日本製の電気製品修理用として米国に在庫がある場合が多いです。この場合、インターネット発注で輸入します。
くどいようですが、入手が困難だからといって、闇雲に変えないこと。オーディオ機器では、部品が命!!。
入手困難な場合、部品自体を修理します。例えば、リレーの場合、接点を磨くなど。
アキュフェーズのP−266型アンプを修理した場合の部品入手例・価格を次に示します:
 (アキュフェーズのアンプは、性能重視のため保護回路が少なく、ひとたび故障をすると、立て続けに多くの部品が不良になります。腕の奮いどころです。)

Part for P-266
@2001年

TechSonic
(単価 us$)
サトー電気
(単価 \)
その他
(単価)

2SJ118 MOS-FET

us $ 15.95 \ --- us $ 18.00

2SK413 MOS-FET

$ 16.40 --- \ 600
2SA733 TR ?? \ 25  
2SA992 TR ?? \ 30  

2SA985 TR

$ 4.11 ---  
2SB647A TR ??? \ 40  

2SB648A TR

$ 2.69 \ 70  
2SC945 TR ??? \ 75  

2SC2275A TR

$ 3.21 \ 75  
2SC1845 TR ??? \ 25  
2SD667 TR   \ 40  

2SD668 TR

$ 2.98 \ 60  
uPA74V  Dual TR --- --- \ 127

 

Part for M-100
@2002年

TechSonic
(単価 us$)
サトー電気
(単価 \)
その他
(単価)

2SC2774 TR

us $ 25.22 ---  

2SA1170 TR

$ 14.05 ---  
2SC2238 TR $ 3.50    
2SA968 TR $ 4.25 \ 200 残少  
2SK163 FET $ 3.68    
2SD758 TR $ 3.98 \ 70  
2SB718 TR $ 3.83 \ 70  

上記TechSonicサトー電気Accuphase P-266用部品価格は、2001年の調査時です。また、Accuphase M-100用部品価格は、2002年の調査時です。国内で入手できれば安いのですが、古い部品は在庫が底を着いています。
2003年1月現在、2SJ118は国外で1社、2SK413は国内で1社のみになりました。
 どうしても入手できない場合は、同等品を探します。しかし、信号経路の部品は音質の変化に大きく影響しますから、慎重に選択します。(オリジナルに忠実に!!!)
例えば、2SJ118→2SJ119は耐圧の違いだけで、他の特性は同じなので、使用可能です。同様に,2SK413→2SK414もOKです。
2SJ119は、TipTop Electronics Supply(カナダ)で@Can$18.00で入手可能なようです(2003/01/29)。

1970年代に製造された製品には、CAN-CASE(金属ケース入り)のトランジスタが多用されています。
このトランジスタ入手は、不可能に近い状況です。ほんの一部については若松通商で入手可能です。
部品がどしても入手できない場合は、”二個壱”をします。同じ2台の製品から、良い部品だけを集め、1台の良品にします。
パリ・ダカール・レースでもトップ・ドライバーの車を修理するために、セカンド・ドライバーの車から部品を外しますネ。あえなく、セカンド・ドライバーはリタイア!。

具体的にマランツ(Marantz)のModel 250アンプに使える部品を探しました。(電源電圧はトランジスタの耐圧の目安になります。コンパチを示すものではありません。間違いがあったらご免なさい。)

Marantz
Model 

電源電圧
+/-

Pre-Driver TR
PNP  NPN

1st Driver TR
PNP  NPN

Driver TR
PNP  NPN

Final TR
PNP  NPN

250

+-59V

SJ2583 SJ2582 --- SJ2585 SJ2586 SJ2520 SJ2519

240

+-59V

SJ2583 SJ2582 --- SJ2585 SJ2586 SJ2520 SJ2519

500

+-82V

  SJ2505 SJ2504 SJ2503 SJ2502 SJ2501 SJ2500

510M

+-86V

  2N5415 2N3440 SJ6206 SJ6207 SJ41776 S41775
 1250  +-59V     2SA839 2SC1669 2SA747A
2SC1116A


P266_pcb.jpg
パワーアンプの終段のトランジスタ等が不良になると、プリント基板のパターンが焼損することがあります(写真)。焼損したパターンは、カッターで切り取り、リード線で補修します。プリント板の焦げた部分は、カーボンになっていますから、やすり やリューター等できれいに削り取ります。カーボンが残っていると電流が流れる為、交換した良品トランジスタを再度壊してしまうことがあります。


やみくもに部品を換える人もいますが、機械部品はともかく電子部品は、新しい部品が必ずしも長寿命とはいえません。(機械部品は磨耗するので寿命がありますが、電子部品の寿命は半永久です)。つまり、初期不良率の高い部品より、実績のある(現在使用中の)部品のほうが安心です。例外として、電解コンデンサは、電解液の蒸発により寿命があります(注)

bullet

D 部品のオーバーホール…接点
 例えば、リレーやスイッチなどの接点は接触不良を起こすので、接点を磨きます。(番外編3参照)
ほとんどの場合は、スイッチやボリュームは何度も何度も繰り返し動かせば、自己クリーニング作用で、接触不良は解消します(接点の構造によります)。特に、使用頻度の少ないものには、効果覿面。それでも駄目なら、CRC-5-56です。
リレーなどは、潤滑油として有名なCRC−5−56を洗浄剤として使い接点を磨きます。CRC−5-56をしみこませた厚手の紙を、接点の間に挟み、接点に圧力を加え、紙を擦ることで磨きます。(決して、紙やすりなどで磨かないこと!。貴重な表面のメッキが無くなります。)CRC−5-56は接点復活剤ではないので安心ですが、気になるなら、 使用後アルコールでふき取ります。
改善効果が現れない場合、他の部品を疑って見ます。音量調整用ボリュームの極度のガリは、受け側アンプのコンデンサのリークで起こります。
これでも不良が解消されない場合、交換します。
なお、リレー、スイッチといえども、接点が汚れていると音質に影響を与えます。

bullet

E 検査・調整
測定器(オシロ、デジボル、発振器、FFTソフト)を使って、基本性能が確保されたかをチェックします。測定器は過信せずに、道具として使います。周波数特性や歪率の測定には、最近の流行のパソコン+FFTソフトウェアを使います。ここでは、測定器の測定限界などを考えなくてかまいません。”基本”性能の確認です。
最終確認は、測定器で測定できない音質を、ヒヤリングで確認します(これが一番重要)。
測定器は”道具”ですから、持っていると作業を効率よく行え”便利”です。
しかし、残念ながら世の中には、測定器で測定できないことがたくさんあります。たとえば、”美人”を表現するのに、測定できる値としてスリーサイズ(B・W・H)がありますが、この数値だけで判断できますか?。でも、逆は真なり。
ちなみに、私は測定器を”集める”のが趣味になりました。紹介ページは、ここをクリック!

最後は、清掃です。私は、CRC−5-56をべとつかない程度に薄く塗りこみ、その後、拭き取ります。

 
bullet

…番外編 1
それでは、上記の手順で誰でも修理が出来るかと言うと、そうはうまく行きません。下手をすると、次から次へと壊してしまい、どうしようもなくなります。

一口メモ B … がんこなシールはがし

粘着テープやシールの糊が剥がれなくて困ったことはありませんか?普通は、一晩、水につけておけば剥がれるのですが、それで剥がれない場合は、CRC 556を使います。そう、あの高性能潤滑油です。
これを、剥がしたいシールに吹き付けて、一晩置きます。あとは、にCRCをつけたティッシュでふき取るだけです。糊の部分にCRCがしみ込むようにしてください。

油化のあるものには、粘着テープが付かないですね。これの逆説です。私は、プラスチック容器のシールを剥がし、部品入れにしています。

英語の勉強と同じです。最初は、回路図を読むことから始めます。やはり、英語の勉強と同じで、単語、いや部品を覚えることから入ります。抵抗、コンデンサ、ダイオード、……。
次は、回路の勉強です。基本はオームの法則です。…先は、長いです…
回路図をにらんで、どのように動作しているのかを、読み取ります。まさに、ドライブに行くときの、地図の読み方に似ています。
一通り、勉強したら修理の実践です。英語と同じで、いよいよ英語を話してみます。
やはり、最初は、直らなくてもいいもので練習です。

bullet

…番外編 2
測定器として、発振器、オシロスコープがあると良いのですが、無い場合はパソコンを活用します。
WaveSpectra for Windows、WaveGene for Windows
などのフリーソフトウェアを活用します。
詳細は、各ソフトウェアの説明を参照してください。

bullet

…番外編 3
普及機ならいざ知らず、高級オーディオ機器の修理には、電子回路技術のほかにも、部品の知識も必要になります。それも、オーディオ部品の知識が必要です。
信号経路に入る部品は、半導体はもとより、抵抗・コンデンサによって音質が変化します。
通常の電子機器の修理であれば、部品のメーカによる差は出ないのですが、オーディオ機器の場合は、異なります。
国内メーカ製のアンプの場合は、回路設計である程度カバーしているため、極端に特別な部品を使用していませんが、それでも部品による影響は大きいです。Accuphase社のアンプは、いまや貴重品のSOSHINのフィルムコンデンサを使用しています。
特に海外メーカ製のアンプでは、部品を選択する際、試聴を行いアンプとしての音色を決定します。真空管アンプは回路がシンプルな為、部品による影響がさらに深刻です。
コンデンサでは、オレンジドロップ、ブラックゲートなどの有名コンデンサーがありますが、これらの部品は修理の際に同じものを使わないと、大きな音質の変化になります。
電源デカップリング・コンデンサーでも、音が変わるので、部品選択は慎重に!。
米国製のボリューム(可変抵抗器)では、Allen Bradleyが有名です。抵抗では、Daleでしょうか。
銘器として有名なMarantz 7の電源整流器は、セレン整流器を使っています。シリコンダイオードに変えた
ら、どうなるでしょうか?。音が痩せてしまいます。
JBLのスピーカボックスは、チップボードでなければいけません。ハンダ senjyu_handa_RMA98.jpgハンダ kester44.jpg
半田といえどもオリジナルと同じ半田を使うべきでしょうが、わからない場合は、米国製アンプの場合、銀入りKester "44"<Sn62Pb36Ag02 0.031>(写真・左)、国内製の場合千住金属スパークルRMA98ハンダ(写真・右)を使うのが適切です。 なお、"44"には配合比率の異なるものが何種類かあります。また、最近の製品には無鉛半田が使われています。
また、配線材にも同じことが言えます。<同じものが入手できない場合は、闇雲に交換しないこと>
私の経験では、Marantz 7の回路図を入手し、そっくり組み立てましたが、貧乏学生だったため、高級オーディオ部品を購入できず、普通の電子部品を使ったため、結局、Marantz 7の音は出ませんでした!!。

一部の悪徳?修理屋は、多量に部品を交換することで、修理代を稼ぎます。それも、適当(いい加減)な部品に交換する為、気が付いたときは、貴重なオリジナル部品は手に入らず、二度と元に戻らなくなります。……要注意……

bullet

…番外編4
スピーカー保護リレーは、万が一のパワーアンプの故障からスピーカーを保護するための、必要悪です。必要悪の割には、音質に重要な位置を占めます。
リレーには、接点に流れる電流や電圧により小信号用リレーやパワーリレーがあります。ここで、スピーカー保護リレーに流れる電流(I)は、パワーアンプの出力(P)によります。P=I↑2xRです。通常のリスニングルームで音楽を聴くときのパワーアンプの出力は、大きくても0.1W(100mW)以下です。このときに保護リレーに流れる電流は、8Ωスピーカーで、0.11Aです。つまり、通常は
フォルティッシモ(ff)ですら0.1A以下の電流しか流れません。
この値は、小信号用リレーの範疇です。反面、1000Wアンプは、最大11Aの電流を供給するため、パワーリレーを使わざるを得ません。
この結果、パワーリレーにとって苦手な、微少電流が流れることになります。
では、どうすれば良いか?。パワーリレーの中から、試聴して音質の良いリレーを見つけることです。趣味の世界だから出来ることですネ。 プロは純正部品に交換をします。純正部品が入手できない場合は、修理辞退です。怖いもの知らずの人は、闇雲に交換します。

 

bullet

…番外編5
取扱説明書や部品の購入、特に海外から購入する場合には、クレジットカードが必須です。心配するのもわかりますが、心配のあまり何も出来ないのでは、寂しいですね。交通事故が怖くて、街も歩けなくなります。
今の世の中は、銀行のキャッシュ・ディスペンサを使うだけで、スキミングされる時代です。でも銀行窓口では、キャッシュ・ディスペンサを使えと言うし!。銀行ですら、いつ倒産するかわからないし!。
オンライン支払い用の専用クレジットカードをつくり、限度額を少なめに設定しておくのが良いのでは。
でも、請求書はしっかりチェックし、少しでも変だったらクレジット会社に問い合わせてください。
また、PayPalなどを併用すれば、さらに安心です。
私の数少ない経験では、Parts Expressから部品(空芯コイル他)を購入した際、輸送中に部品1個が紛失していました。Parts Expressに丁重に状況説明をしたところ無償で紛失部品を送る由のメールが来ましたが、その後、郵便局が事故の補償をしてくれましたので、無償送付を丁重にお断りし 、有償で購入しました。
海外からの輸入に限らず、世の中すべて、必ずしも良いことばかりとも限らないので、多少のリスクの覚悟が必要です。

部品をメール・オーダーで購入する場合の注意!。プロを相手にする量販部品販売店では、薄利多売を行う為に、細かい注文(要望)に応えられないことが多いです。これは、特に海外の販売店で顕著です。
日本のマニア向け販売店(多利薄売)と対応が異なることを念頭においてください。hfeを揃えるなんて、絶対に不可能ですし、梱包もラフです!。
いろいろ無理を言っていると、いづれMinimum Order金額が高額に設定され、アマチュアには手が出なくなります。Give and takeの精神で!。

<このページも含め、製品や販売店を紹介していますが、私の数少ない経験での紹介であり、保証しているものではありません>

bullet

測定器類の修理レポート・リンク

各機器の修理 内容のレポートにジャンプします。


 

bullet

電解コンデンサーの寿命と液漏れ:

電解コンデンサーの寿命については使用温度によって大幅に変わります。
電解コンデンサーの寿命は、次式で表せます。
       calc.GIF

ここで、
 L=期待寿命
 T=コンデンサの温度(周囲温度+発熱)
 Lo=そのコンデンサの保証寿命(規格)
 To=そのコンデンサの最高使用温度(規格)

例えば、85℃2000h品を、周囲温度40度で使用した場合 40,000時間の期待寿命になります。これは、毎週15時間使用したとしても、50年間はもつことになります。
毎日8時間使用すると、15年になります。
ここで寿命がくると、すぐに不良になるわけではありません。寿命後は徐々に故障率が高くなっていきます。
なお、フィルムコンデンサには、寿命という概念も基本的にはありません。

四級塩電解液使用電解コンデンサの液漏れ事故が起こりました。1990年前後に製造された高性能電解コンデンサには、四級塩電解液が使われました。この電解液は非常に性能が良いので、主に105℃、低ESRなどの高性能コンデンサに使われました(85℃品の一部でも使用)。メーカーもニチコン、日本ケミコン、松下電器、エルナーなどほとんどです。100%液漏れが起こり、大型コンデンサの場合、その液により基板を腐食させ、最悪、発煙事故になります。
四級塩電解液は、非常にアルカリ性が強く、さらに使用中にわずかながらの電気分解により、陰極側に発生する強アルカリ成分が封口材のゴム・端子丸棒部を侵食して、コンデンサの気密性が損なわれ、液漏れに至ります。
コンデンサ・メーカーは製造開始後4年ほどで、このメカニズムに気づき、ただちに使用を中止しましたが、あまりに製造量が多かったため、大々的なリコールは行わずに済ませました。しかし、必ず液漏れを起こすので、業界では周知の事実となり、故障による影響の大きい機器については、定期点検、オーバーホールの機会に対策品に交換しました。

1987年頃から、105℃低インピーダンス品に四級塩電解液を使用開始。
1992年9月頃から電解液漏れが顕著化。
1993年始に対応開始。(封口ゴムを樹脂硫流プチルゴムへ変更)
1994年末まで生産。
1996年2月から切り替えを推奨。

ニチコン 主な四級塩コンデンサの製造時期:

 チップ WX 85℃ 50V以下 1987/08〜1994/11
 チップ UX 105℃ 50V以下 1989/01〜1997/10
 高信頼 PF 105℃ 50V以下 1987/08〜1998/9
(コンデンサの製造時期と、それを組み込んだ製品の製造時期とは、づれますから要注意)

エルナー RSH,RSG,RSE,RC2S,RC3Sシリーズで使用
日本ケミコン LXF,TXF,SXE,SXG,MVK,MFK,MVF,MFFシリーズで使用
ニチコン RZ,RT,VZ,ET,PR,PY,PF,PL,PQ,PG,MX,WX,WP,MP他シリーズで使用

なお、2001年後半〜2002年前半あたりに製造された台湾製低ESR電解コンデンサの液漏れは、四級塩電解液が原因ではありません。ここのサイトに詳しい情報があります。

bullet

お勧め特殊工具

ラジペン、ニッパ、半田ごてなどの必帯の工具以外に、持っていると便利な工具を紹介します。
bullet

…ホットメルトglue_gun.jpg
意外と役に立つ接着剤(?)です。コピーしたマニュアルの簡易製本から始まり、中型部品(電解コンデンサ等)をプリント基板へ取り付ける際の接着にも使えます。
たとえて言えば、2〜3秒で固まるエポキシ接着剤(?)…と言った感じです。適度な弾力と肉痩せしなく、瞬時に硬化します。さらに、再加熱で軟化します。
使用に際しては、ホットメルト・ガン(グルー・ガン)が必要になりますが、ドライフラワー作成などでも使うため、低価格で市販されています。¥1,000程度で購入できます。(あまり安いのは買うのをやめましょう。工具と同じで、良いものを長く使うほうが、結局は安上がりです)
……お勧め!!

bullet

…竹串
そうです、あの焼き鳥の竹串。金属と異なり、適度なやわらかさがあるので、材料を痛めません。また、木よりも耐熱性があるため、半田付け作業でも使えます。
例えば、どうしても抜けない、スルーホールに詰まった半田。コテで暖めながら、反対側から竹串で突っつきます。基板を痛めず一発解消!……お勧め!!
 

bullet

…ミニ万力mini_mannriki.jpg
工具は出来るだけ良いものを購入します。良い工具(多くは高額)は、一生使えますし、作業もスムーズに行えます。しかし、例外的に”百均”で売っているミニ・万力(ミニ・バイス)は、コネクタ等の小部品の半田付けなどの時に部品を固定するのに、非常に重宝します。
プラスチック製なので、固定力が小さいのが幸いして、部品を壊さずにすみます。一応、固定面は金属製なので、半田ごてで溶かすこともありません。机の上に吸着して使いますが、そのまま固定せずに使ってもOKです。 軽いので、足の上に落としても、怪我をしません。
やすりがけの時は、プラスチック製では頼りないので、スチールやアルミ製の方が良いです。
もっと小さい部品や、壊れやすい部品を仮固定するには、コクヨの「プリットひっつき虫」を使ってます。ゴム粘土のようなもので自由に形を変えられます。本来は、ポスターなどを壁に貼るのに使うものです。
 

bullet

…バキュームアタッチメント・キット
修理の第2ステップは、掃除、清掃 です。ここでは、狭い場所や、細かい部品の掃除に便利なアタッチメントの紹介です。本来、パソコン用ですが、サンワサプライ株式会社のCD-83KTバキュームアタッチメント・キットが便利。
家庭用の掃除機に取り付けて使いますが、約90cmの細いホースで、細かい作業もうまくこなせます。吸引力も調整できるので、デリケートな機器にも安心して使えます。
価格が¥880と安いのも魅力。
 

horizontal rule

[トップページ]《←当Webの表玄関です》

horizontal rule